*DVです。死ネタです。
































ぼくは、小さな頃からおきにいりのおもちゃをよく壊してしまうこどもだった。













「ロシア」
が僕の名を呼んだ。彼女の声は低すぎないアルトで、芯のある歌えば響く声だった。僕はとてもそれがすきで、そ の口が閉じたり開いたりするのを観察するのがとてもすきだった。


「もし、もしね、もしあなたが私のことをすきで私に暴力を振るったのなら、私はきっとあなたのことを拒絶したりは できないでしょう。その人の愛ゆえの行為をどうして私が否定することができるのですか。だから、だからきっとあな たが私を愛し続ける限り、私はきっとあなたのことを好きなままですよ、ロシア」


まるで歌うような言葉だった。僕は彼女のことを愛していたのだろう。なんとなく、彼女へと向けられる僕の想いが愛 という名をつけられる類のものだとはわかっていたけれどそのような気持ちに触れたことも持ったこともなかったので わからなかった。彼女は間違いなく僕のことを愛していたし、僕は彼女を僕の広い家の一室に囲ってまるで妾のような 扱いをした。とても大事にした。なにか綺麗なものがあれば必ず見せたし、その日あったことを細かに話したりもした 。はそれを、目を細めながら、時に頭を撫でながら聴いてくれた。僕はとても幸せだったけ れど、その頃から段々と僕はおかしくなっていったらしい。




ある日僕はいつものように彼女のなめらかに動く唇を観察していた。程よく潤っていて、真っ赤な、かわいい唇だった。 僕はふと、その下へと視線を下げた。もちろんそこには白くて細い、艶かしいの首があって、僕はああ触ってみたいなぁ、締めてみたいなぁと思った。それはいけない ことだとちらりと頭では思ったけれど、僕の指先はその首にそっと触れるとゆっくりと絞めはじめていた。
の表情は、意外にも動揺の色は浮かんでいなくて、冷静だった。諭すような瞳でぼくを見 ていた。僕はその目が嫌いじゃなくて、また少し力を込めてみたらさすがに酸素を求めての口が開いたのでやめた。手を離したあとで、咳き込むを見るととても苦しそうだったのでああぼくはもうこんなことはやめようと思った。




そのことがあった次の日にまたの部屋に行くと、は全く昨日のことなんかなかったみたいに、ふつうに僕に接してくれた。怖くは なかったのだろうか、嫌いにはならなかっただろうか、とおもったけれど、僕は怖かったので聞かなかった。 しばらくすると、今度はのこの白い肌の下をどんな色の血が流れているのか知りたくなって、きっと綺麗 な鮮血なのだろうと思ったらその白い肌に映えるの血の色を見たくなった。僕はが丁度着ていたYシャツのボタンをひとつひとつ外して、後ろを向かせた。はこのときもまた、諭すような目をしていた。キャミソールを手で適当な位置まで 固定して、の背中に頬を摺り寄せた。なめらかですべすべしていて、腕や足より少しばかり白 かった。が生まれてから、のこの部分を見てきた人間は少ないのだろうと思った。だったらそこに血が浮かん でいるところまで見たことのある人はもっと少ないに違いない。もしかしたら居ないかもしれない。僕はそれが うれしくて、わくわくしたので、しっかりと、僕の犬歯がしっかりと突き立つようにの背中にゆっくりと噛み付いた。ぷつっという音が聞こえたかもしれない。の背中には玉くらいの血が浮かんでいて、それは僕の予想通りの光景だったので 嬉しくなった。は少しも声を上げなかった。ただ、背中が少し揺れただけだった。




こんなことを続けているうちに、どんどんの体はぼくのつけた傷でいっぱいになっていった。僕はそれを不快には思わなかったし、 も何も言わないのでそれでいいのだろうと思った。きっとは僕がを大事にしている故の行為だと理解してくれていたのだろう。僕はが大好きだった。だんだん、これは愛なんだと気づくようになって、どんどん愛しくな っていった。




ある晴れた日、僕は珍しく昼にの部屋を訪ねた。カーテンも窓も開いていて、あたたかい陽光のおかげで部屋もあたたか かった。カーテンは風でふわふわ浮いていた。そして、は人形のように冷たくなっていた。(08.03.09)