*地味にマフィアぱろです
既に自分が血の匂いに慣れてしまっていることに気付いて少しだけ自嘲した。まるでB級映画のようなこの真っ暗で何も無い廃墟の死体から流れ出る血が、月に照らされて鮮やかに光っていて綺麗だった。疲れのせいか、酷く異常な空間にずっと居たせいで感覚が麻痺しているのか、なんとなく自分がちゃんと立てているのかということさえ不安になった。
「その人まだ死んでないじゃないですか」
「う、」
悪戯を咎められた子供のような心境で振り向くと、そこには真っ黒なスーツを着こなし、めがねに書類という完璧な秘書の格好でがすっと立っていた。
「どうせ死ぬのに生かしておくんですか?」
「や、なんか・・・その、かわいそくて、」
「それであなたこの前死にかけました」
ぴしゃりと言われて口を紡ぐしかなかった。生への執着が尋常じゃなかったどこかの社長が、近くに転がっていた銃を向けてきたという事件がまざまざと脳裏に浮かんだ。
「まぁ、苦い思い出やな」
言うと同時にギロリという擬音がつきそうな程に睨まれる。居心地の悪さにはははと笑って肩をあげても視線を逸らしてはもらえない。俺は諦めるとまた銃を出した。死体、正確には死体になりかけの人間にまた銃を向けるのは忍びなかったが、今度は手っ取り早く頭を狙うことにする。会話が聞こえていたのか、手があからさまにぴくりと動いたが、構うことなく引き金を引いたためその手は二度と動くことはなかった。のほうは、少しくらい怯えたような顔をしたらいいものを全く動じていないようだった。こんな汚いもんみせてごめんなぁ、と言うと「仕事ですから」と抑揚もなく返された。
「今度から、あなたが止めを刺さなかったものに関しては私が始末を言いつけられましたので」
「うえ、それ、アメリカの命令なん?」
「ええまぁ」
「えげつな、ちゃんおんなのこやのに」
は少し照れたように顔をそらして、また仕事ですから、と言った。大体このこは事務を任されているのであって実際に手を染めるのは自分達だ。は非戦闘員だというのに、ほんとうに、えげつない。
「あなたに確実に止めを差せ、と釘を打ってるということですね」
「敵わんなぁ」
「頭のいい方ですよ」
俺はしばらく考えて銃を完全に戻したあと、「じゃあちゃんのためにがんばるわぁ」と言ってわらった。
「またそんなこと言って」
は怒ったような、照れたような顔で少しだけ声を荒げた。それがかわいくて、ついからかってやりたくなる。
「嘘やないって。ちゃんのためだけに最後までやるわ」
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