なんだか世界が終わったようだった。ずっと好きだった人に振られた、言葉で言ったらそれだけなのに。年上の先輩で特にこれといった接点もなく、只一方的に憧れていただけなのだから期待なんてはなからしていなかったけれど今の私にはもうすべてがどうでもいいと思えるほどの脱力感と喪失感が重く圧し掛かっていた。
私はそのあと自棄になったというわけでもないけれどふらふらと街へ出た。何をするでもなく、どこかの人のほとんど出入りがないオフィスの前に座ってぼーっとしていると誰か男の人に声をかけられた。成人だろうか青年だろうか、私にはよくわからなかったけれどどうでもよかった。その人の姿自体が私の目にはおぼろげにしか見えていなかったのだ。その人の口が動くのを霞んだような、視点の定まっていない目で見ていたらその人が私の腕をひっぱった。ひっぱったといっても乱暴にでなく、かといって紳士的にでもない、あくまで普通の、私を立たせるためのものだった。私はさっきのこの人の話は聞いていなかったけどきっとどこかへ行こうといわれたのだろうと思って、返事をした記憶はなかったけれど腕を引かれるままに歩いた。




とても胡散臭い名前のホテルだったから、ラブホと普通のホテルの区別ができない私でもラブホだと分かった。ラブホなんかに連れ込まれて何されるかなんて決まってるのに、 行きずりの男と寝ることも大切だというからまぁ、たまにならいいかと思った。出典はパンクバンドの歌詞だから信憑性もクソもないのだけれど。
その男は慣れているのか手早くわたしの服を肌蹴させると荒々しく首に吸い付いてきた。そういえばこの人の名前はなんというのだろう。それさえも知らないのに私は、と思ったけれど私はずっと上の空だったのでもしかしたらこの人は自己紹介したのかもしれない。私はまぁ、いいかと思った。ほんとうはぜんぜんよくないことだけど。




「あっ、んっ」




なにしろ私はこのようなことは初めてで、むしろ想像しただけで気持ち悪いと眉を顰めてしまう程に初心だったから、自分の初めて聞く声にも随分と驚いた。驚いたおかげで結構頭が冷えて、ああやめたいなぁとちょっとだけ思った。こんなにはやく後悔するなんてわたしばかだなぁと自重した。自棄になったからってここまでやるとは思わなかった。冷えていく思考とは反対にどんどん体は熱くなっていって、きもちよくはなかったけど体の反応はどんどん強くなっていった。あたしの声は静かでなんとなくべつにそうでもないのに趣味の悪い、下品な部屋にガンガン反響した。みんなこの感覚をきもちいいっていうのか、へんだなと思ったら、「うわ、」というあたしの上に乗っている人の驚いたような声が聞こえた。




「おまえ、処女かよ」




そうなのだ。あたしは、確かにさっきまで真面目な女子高生だったのだ。












不純パレード
はじめてはっきり見たこの人の顔は、侮蔑の表情なんかじゃなくて心底同様した顔だったので、この人なら責任をとってくれそうだなぁと笑った。

















(普はこーゆーことできる奴じゃないよねきっと)(08.04.10)